2004年10月22日

終わらないパーティ

秋の異動で職場が変わった。
新しい職場の廊下から見える向かいのビルでは、しょっちゅう宴会が行われている。
社員食堂を使った内輪の立食飲み会なんだろう。
自分の会社でもときどき行われている。

ある日、おかしな事に気が付いた。
あまりにも回数が多い。
毎日そのビルを覗いているわけではないが、たまたま見掛けたときで宴会をやってないときがない。
宴会をやってるから目に入るのかもしれないけど、夜はいつも灯かりがついている。

気になりはじめてからは、意識してチェックするようになった。
それから3日間、飲み会は毎日行われていた。
しかも、そこにいるメンバーがだいたい同じに見える。
遠くて顔までははっきり分からないが、毎日見てると服装や動きでなんとなくわかる。

ただの飲み好きが毎日飲んでるだけだったら珍しくもないが、立食形式にはしないだろう。
毎日そんな行事がある会社。
ちょっと興味が湧いた。

職場の人に、隣のビルについて聞いてみた。
しかし、どこの会社が入ってるビルか、知ってる人はいなかった。
大手ではなさそうだ。
そこで、自分で見に行く事にした。
昼休みに食事をとるついでにそのビルまで足を伸ばした。
例の食堂らしきフロアが13階である事は数えてある。

いくつかのテナントが入ってる雑居ビルだった。
ロビーの案内板を覗いて、13階を確認すると、何も表記がなかった。
せっかくここまで来たのに無駄足なのもしゃくなので、受付まで行ってみた。

「ここの13階は、どこの会社が入ってますか?」
ストレートに聞いた。
「現在は使われておりません」
あっさり返された。
「食堂になってますよね?」
「いいえ。空きスペースになってます」

納得できるはずもなく、そのままエレベータに乗り込んでみた。
エレベータ内の案内板も、13階には何も書いてない。
階数を数えたときに間違えたのだろうか。
だけど、12階も14階も空いているらしい。
試しにボタンを押してみたけど、反応がなかった。
止まらないように設定されている。

試しに20階を押してみた。
ランプが点灯し、エレベータが上がり始めてしまった。
知らない会社のフロアに着いて、不審に思われたら困る。

困ってると、エレベータが止まり始めた。
まだ指定した階じゃない。
誰かが乗ってくる。
とっさに下を向いて、携帯をいじってる振りをしてみた。

ドアが閉まって、また上がり始めた。
そして、20階に着いた。
顔を上げると、そこには誰もいなかった。
ドアが開いて見知らぬフロアに着いた。
誰も乗ってこなかったので、そのまま降りた。

そして、今の出来事を思い返した。
上る途中で確かに止まったのに、誰も乗ってこなかった。
もしかして、あれは13階だったんじゃないだろうか。
そんな想像を巡らせたとき、またエレベータが止まった。
今度は顔を上げたまま。表示を確認した。
13階だ。

ドアが開いた。
向かいの窓から見てた宴会の風景が広がってるかと思ったが、がらんとした広い空間でしかなかった。
カーペットは敷いてあるが、それだけのフロアだった。
そして、静かにドアが閉じてエレベータは1階に降りた。
最後にもう一度13階を押してみたが、やはりランプは点灯しなかった。

職場に戻って同僚に昼のことを話して聞かせた。
そう言えば、あそこっていつも飲み会やってるかもね。
で、誰が13階でエレベータを止めたの?

今でも向かいの13階では飲み会が行われている。
うちの職場の者は、みな気味悪がって見ないようにしている。
posted by 黒鳥 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 021〜030 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/868496

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。