2004年10月16日

確かに帰ってきていた

同棲している彼女から、帰りが遅くなるとのメールがありました。
会社で送別会があるとか。
今までも時々あったことなんで、いつもどおりに返事して、金曜の夜にひとりはつまんないのでビールを飲んでました。

帰りが夜中になるときはいつも駅まで迎えに行ってたので、その日もがんばって起きてようと服も着替えずにいました。
お酒を飲んで帰った時に彼女がいつも食べるミカンも用意してあります。
しかし次第にビールの量も増え、つい床でうとうとしてました。

ぱちん。
テレビが消えるときの音で気が付きました。
酒と眠気でもうろうとしてましたが、彼女の気配を感じました。
ぼくの寝間着を持ってきてくれたようです。

動く気がしないのでだらっと伸びてたんですけど、彼女がてきぱきと脱がせたり着せたりしてくれてました。
ぼくが酔いつぶれたときのいつものパターンです。

そしてベッドまで誘導され、倒れ込みました。
毛布を掛けられて、目を閉じたまま彼女がベッドに入ってくるのを待ってました。
が、なかなか来ません。
顔でも洗ってるのかな。と思っても、水音はしません。

がんばって目を開けたら、ベッドのそばに座ってる彼女がいました。
「ミカン、冷蔵庫にあるから」
そう声をかけると、少し笑ってました。
そのあとは記憶にありません。
寝てしまってました。

翌朝、電話の音で目が覚めました。
ぼくの携帯の音です。
手を伸ばして携帯を取ったとき、彼女がベッドにいないことに気が付きました。
起きあがって探しながら電話に出ました。

何度か会ったことのある、彼女の同僚の男性でした。
昨日の送別会のあと、車で来てた人が帰る方向が同じ2人を送っていったと。
ぼくの彼女と別の人。
飲酒運転だったそうです。
そして、他の車と正面衝突して3人とも即死だったと。
その人にもさっき警察から連絡があったそうです。

ぼくは電話で話ながら家中を探しましたが、彼女はいません。
「昨日帰ってきてましたって」
「いや、警察が身元も確認したらしいけど」
わけが分からないまま、ぼくも確認しに行きました。

対面した遺体は、確かに彼女でした。
出かけていったときの服装そのままでした。
顔も髪も綺麗なままで、死んでいるのが信じられませんでした。
昨夜のことも夢とは思えませんでした。
だけど、認めないわけにはいきません。

涙が流れてきました。
警察の人達が離れたとき、ぼくはそっと彼女に口づけをしました。

ほんのりと、でもしっかりと、ミカンの香りがしました。
posted by 黒鳥 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 021〜030 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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