2004年08月05日

揺れるだけだったブランコ

近所の公園に、地元では有名な怪奇スポットがある。
ブランコがひとりでに揺れるという、よくあるやつだ。
二つあるブランコのうち一つが、昼でも夜でも揺れる。
自分も見たことがある。
片方は静止してるか風に揺れる程度なのに、明らかにもう片方は大きく揺れる。

あんまりに目撃が多いので、一度雑誌が取材に来たことがある。
記事によると、確かに記者の目の前でブランコは揺れたが、心霊現象ではないという結論だった。
近くの高速道路の振動と周波数が一致してどうとかいう、物理的に説明が付くということだった。

しかし、自分が見たときには明らかに誰かが立ちこぎしてそうなくらいの勢いだった。
あれが揺れの伝動とは思えなかった。
雑誌では否定されたが、やはり地元住民は気味が悪いらしく、そのブランコで子供が遊んでる姿は見かけなかった。

そんなある夜、珍しくそのブランコに腰掛けてる女の子がいた。
少し離れたところで、花火をしている家族がいる。
ブランコの子と花火の家族は連れなのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
気になってしばらく見ていたが、花火をしている親と子供の4人とも、誰もブランコのほうを見もしない。

引っ越してきたばかりか何かで、ブランコの話を知らない子なんだろう。
そう思ってその場を離れた。

夜中にビールを買いに外に出た。
その子はまだブランコで遊んでいた。
さっきは座ってるだけだったが、今は普通にこいでいる。
キシキシと音が鳴っていた。

「また揺れてるね」
後ろから声をかけられて驚いた。
いつも帰りが遅い、隣の家のおじさんだった。

「あんまり頻繁なんで、もう怖くもないね」
と言い、おじさんは家に入っていった。

おじさんには、ブランコがひとりでに揺れてるように見えたらしい。

posted by 黒鳥 at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 011〜020 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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