2004年08月01日

連鎖する厄災

小学生の頃、近所に精神病院があった。
周辺の子供は皆、悪いことをするとそこに入れられると親に脅かされてしつけられた。
あるとき、そんな病院に関するうわさが学校で広まった。

「最近若い女性が入院した。その人は、幽霊を見て頭がおかしくなった」

他愛もないうわさ話で最初はすぐに忘れてしまった。
が、後に全く別のルートで同じ話を聞いた。
テレビの怪談特集で、まさにその女性と思われるエピソードを紹介してたのだ。

地元では常に霊にまつわるうわさのあるスポット。
そこにあるカップルがドライブに出かけ、彼女がちょっとトイレに降りた間に彼氏が軍服の幽霊に囲まれる。
彼氏は慌てて車で逃げてしまい、翌朝友人ともう一度彼女を探しに戻った。
彼女はそこにいたが、既にまともな状態ではなかった。
そして入院。

学校で友達から聞いた噂とテレビでの放送。
二つが重なったことで、小学生の僕らにとってはそれは真実だと信じるに十分だった。

放送後、すぐに仲間内で探検隊が発足した。
その精神病院を覗きに行こうというのだ。
精神病院の警備は当然厳しかったが、ときどき覗きに入る悪ガキはいた。
ぼくら4人組は、まんまと潜入に成功した。

夜の闇に紛れて、鉄格子のはまった窓を外から覗く。
例の女性が一階に収容されているとは限らないが、僕らに出来るのはそれだけだった。
女性患者を見かけても、それが話に出てた女性か確かめる術もない。
しかしそんな心配は無用だった。

個室のはずの部屋の中に一つ、その部屋にはたくさんの人がいた。
着ていたのは軍服だった
そして、軍服の輪の中に座ってる女性が一人。

その部屋を覗いた瞬間から、スローモーションのように覚えている。

軍服の一人が窓を振り返り、ものすごい勢いでこちらに迫ってきた。

ぼくはすかさず地面にしゃがみ込んだ。そして、窓を見上げた。

鉄格子から伸びた腕が友人の頭をつかんでいた

そして僕と友達二人は走って逃げた。
多分悲鳴をあげていたと思う。

一人の家に行って、そいつのお母さんに今あったことを話した。
置いてきた友人の親にも話した。
病院にも連絡し、学校にも連絡が行った。
軍服の幽霊を見たことも全部話した。

友人は結局見つからなかったらしい。
学校では、友人は急に転校したと説明された。
病院に行ったことは厳しく口止めされた。

事件から1年くらいたったある日、あの友人が精神病院に入院していると言う噂が流れた。
お母さんが病院から出てくるところを誰かが目撃したのだ。

この話をテレビ局に投稿して放送されたら、また同じことが繰り返されるのだろうか。
posted by 黒鳥 at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 001〜010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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