2005年05月07日

ここも敷地内だった

わたしの会社の隣には駐車場があった。
そこに、去年からビルの新築工事が始まった。

更地だったところを掘り返し、地下からの工事をしている。
地上にはフェンスが張り巡らされているが、隣のビルからは中の様子がよく見える。
だんだんと地下深くまで掘り下げられている様子が、日々見て取れた。
最初のうちは「朝顔の観察日記みたいに写真撮ってみようか」などと職場の友達と冗談を言い合っていた。

何日か経つとだれも窓から眺めなくなった。
観察に飽きたせいもあるが、それだけではないような気がした。
窓から工事現場を見下ろしていると、なんだか焦燥感のようなものが沸き上がってきた。
吐き気のようなものも感じた。
窓際の会議卓も敬遠されるようになっていたから、みんなも同じような感じだったのかも知れない。

ある日、工事現場に救急車が来た。
作業員が運び出されたそうだ。
ちょうどその頃、夜に工事現場で人魂を見たとかいう怪談話も社内で広まっていた。
「多分あの地下には死体が埋まってるんだよ」などと言う噂もあった。

勝手な憶測を隣でしていると、ある朝に工事現場でイベントが行われた。
地鎮祭のような神主さんではなく、お坊さんらしき人が来ていた。
改めてご供養をする羽目になったんだなと想像した。

工事現場の人に直接事情を聞くわけにはいかなかったが、同僚が証拠を入手してきた。
写真週刊誌の記事にその現場の話題が出ていた。

「昔の豪族が村人や使用人を惨殺して埋めた跡地が見つかった」とか言う内容だった。
地元の古い記録と、今回の工事現場の様子が一致していたらしく、実際に人骨が出てきたそうだ。

記事には当時と現在の地図の比較もあった。
昔の異常者がたくさんの死体を埋めたと言われる箇所は、まさしく工事現場とうちの会社の敷地だった。

それを知ってからは、なるべく夜に一人で残業しないように、地下の倉庫に用事を作らないように気を付けている。
posted by 黒鳥 at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 041〜050 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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