2004年07月10日

鳴り続けた電話

携帯のワンギリが全盛期だった頃は、夜中でも構わず何度も着信があった。
徹夜で仕事をしていたその日、夜中3時過ぎに休憩を取った。
着信は山ほどあった。
不思議なことに、非通知がほとんどだった。
ワンギリ業者は非通知で電話をかけない。

履歴をよく見ると、非通知の着信は10分おきにあった。
このあとも続きそうな気がしたので、非通知を拒否する設定に変えた。
3時20分になっても着信はなかった。

忘れた頃にまたワンギリがあった。ちょうど4時だった。
今度は知っている番号だった。
それはつい先週別れた前の彼女だった。
俺にベッタリでいい加減うざったくなったので、かなりひどいことを言って捨てたのだった。

こんな時間にワンギリ。
もしかしたら非通知の着信も彼女かも知れない。
ストーカー気味の彼女ならやりかねない。

携帯の時計が4時10分を示すのを確認し、次の着信が来るのを待ちかまえた。
すぐに彼女からの着信が来た。すかさず取って、一言「死ね!」って言って切った。

しかし効果はなかった。
その後も10分おきに着信が来た。
全部シカトした。

6時前くらいに、職場へ電話がかかってきた。
警察から俺宛の電話だった。

不在の間に俺のアパートで火事があって、俺の部屋から焼死者が出たそうだ。
ただ死体は女性のもので、それで俺の行方を捜して実家の親や職場の上司などあちこちに連絡が飛んだらしい。

その後、火元も俺の部屋だとわかった。
そして、やはりと言うべきか、死体はあの彼女だった。
警察の結論は、別れ話を苦にしての放火自殺だった。
俺があんなことを言ったせいかと思い、激しく後悔した。
自分や近隣の住民も住処と家財を失った。

そのショックがとても大きかったせいか、警察にも話し忘れたことがある。
話しても相手にされなかったかも知れない。
警察から電話が来る直前まで、彼女からの着信が鳴り続けていたこと。

その日俺が自宅にいなかったのが幸いなのか不幸なのか、いまだによく分からない。
俺は携帯を解約し、今の新しい携帯も夜には電源を切っている。
posted by 黒鳥 at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 001〜010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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