2004年07月05日

奇妙なCD

以前、笑っていいとも!の番組中で奇妙なCDが紹介されたことがある。
たしかB’zのCDだったと思うが、再生すると毎回違った音が流れてた。
それが暗い感じのうめき声にも聞こえる嫌な音だった。
悲鳴に聞こえるような高い音も流れ、会場のお客さんも悲鳴をあげていた。

私の兄もそんなCDを持っていた。
私の知らないアーティストのCDだったが、それも再生するたびに違った音が鳴っていた。
たいていは、風のような、海の波のような、そんなざわざわした音だった。大勢の足音にも聞こえたような気がする。

笑っていいとも!の放送を見たときに、自分も送れば賞金もらえたのにと兄は笑っていた。
今思うと、送らなくて良かったのかも知れない。
あれは、ただの妙な音がするCDではなかったかも知れない。


昔、学校で友人にそのCDの話をしたところ、ぜひ聞いてみたいというので家に連れてきたことがある。
兄はまだ帰っていなかったが、置いてある場所は知ってたので勝手に持ち出した。
兄は私が部屋に入ると怒るので、ばれないように兄のステレオでなく自分の部屋のラジカセで再生した。

再生したとき、しばらくはほとんど無音だった。
普通の歌手のCDなんだからそれだけでもちょっと異常なのだが、友人はちょっと期待はずれ風だった。
ただ、私が以前に聞いたときとはだいぶ違っていた。

そのとき、居間で電話が鳴った。
二人で聞き耳を立てているときだったので、ものすごくびっくりした。
二人で笑いながら再生を止めて、私は電話を取りに居間へ行った。
電話はすぐに終わった。5分もかからなかったと思う。

部屋に戻ると、友人が帰ろうとしていた。
一緒にもう一度聞こうと言ったが、どうしても嫌だと帰ってしまった。
不思議に思ったがどうしようもなく、私は一人でCDを兄の部屋に戻した。
その後兄も帰宅したが、部屋に入ったことには気づいてないようだった。

夕食後に部屋に戻って自分のCDを再生したとき、ラジカセから大音量で音楽が流れて来たので慌てて止めた。
音量つまみがかなり大きなところにセットされていた。
昼間に使ったときはそんなことなかったので、友人のいたずらに違いない。

夜になって、私に2度電話があった。
友人の母親からと、警察からだった。
あの友人が、電車に飛び込んだというのだ。
私の家から帰宅した後、自分の部屋にいたと思っていたらいつの間にか外へ出ていて、踏切から線路に入ったらしい。
帰宅前に私の家に寄ったことを話していたので、いろいろと事情を聞かれた。
が、兄に怒られるのが嫌だったので、あのCDを聞いていたことは言わなかった。
友人が自殺するような動機は、私も友人の家族も誰も見当も付かなかった。
これから自殺する人が、あんないたずらをするだろうか。


その後何年もこのことは忘れていたが、最近あることで急に思い出した。
映画のシックスセンスで、主人公が古いテープを再生したとき、奇妙な音に気が付いて音量を上げ、あり得ないはずの声を聞くというシーンがあった。
私の想像だが、きっと友人は私が部屋を出ている間にCDを聞いていたのではないだろうか。
そして、何かに気づいて音量を上げたのではないだろうか。
そして、聞いてはならない何かを聞いてしまったのではないだろうか。


友人のことがあってから、私はそのCDを聞いたことがない。
その存在も忘れていた。
兄が就職して一人暮らしを始めたとき、CDを一切持っていってしまったので、私は聞きたくても聞く機会がなかった。

シックスセンスを見て友人の自殺とCDとの関係を思いついたが、その時には確認しようがなかった。
CDを持っていたはずの兄は、家を出た翌年に彼女と心中していた。
車で海に飛び込んだそうだ。
私も私の両親も、兄の友人や同僚達も、やはり動機の心当たりなんてなかった。

兄の遺品を整理したとき、そのCDのことは忘れていたので確認していない。
少なくとも、私の周りに今そのCDは無い。

もっと前に友人とCDのことを思いついていたら、兄に話していたかも知れない。
そしたら、もしかしたら兄は心中しなくて済んだのかも知れない。
CDと友人や兄の自殺との関連はまったく私の想像にすぎないが、もしかしたらという思いがどうしても頭を離れず、悔いが残っている。

長くなってしまいましたが、私の話はこれで終わりです。
posted by 黒鳥 at 02:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 001〜010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/269655

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。