2005年02月12日

あと5人

職場仲間の紹介で宝くじの共同購入サークルに参加していた。
たいていはサマージャンボや年末ジャンボを30人で30万円購入分と言った買い方をする。
友人の友人というつながりもいるので、参加してるメンバーを全て知っているわけではない。
だから少額当選の場合にはいちいち分配せず、次の購入へ回すことが多かった。
自分は参加してから2年続けていたが、みんなに分配するほどの高額当選は一度も無かった。

サークルでサイトを立ち上げ、購入については掲示板で相談される。
直接顔見知りでない集団なので、何人かの幹事役が集金したり結果を周知したりとマメに働いていた。
その他のメンバーは黙って出資するだけだったり、有名な売り場の情報を持ち寄ったりと、様々に関わっていた。

ある時、メンバーの一人が海外旅行に行くついでに現地の宝くじを買ってこようと提案してきた。
日本でも何度か高額当選で話題になった宝くじで、街ぐるみの共同購入があったりという大がかりなものだった。
滅多にないイベントだからと出資金は高めに設定されたが、賛同者は26人集まり結構な金額になった。

そのメンバーは無事に旅行を終え、購入した証拠写真とか現地の盛り上がりを掲示板に寄せていた。
ついでに占い師に見てもらい、当選のお墨付きをもらった。
と興奮気味に書き込んでいた。

日本でニュースになったときは一人あたり5億円を超えるという金額が話題になったのだが、お告げの結果では出資者一人あたり5000万円ほどだという。
高額賞金で有名なくじの割には物足りないが、それでも本当に当たるのなら嬉しい。
当然、誰も占い師を本気で信じているわけではなかった。

それから数日後。
職場の友人達4人が乗った車が高速道路で事故を起こし、4人とも亡くなってしまった。
4人とも宝くじサークルのメンバーだったので、掲示板に事故の報告をした。
直後にメールが届いた。
サークルの幹事役の一人からだった。

「自分の友人達も最近3人が事故で亡くなった。全員 例のくじの出資者だった」
という内容だった。
慌てて確認してみると、今回の4人とも出資者だった。

幹事役と相談して、出資者にそれとなく連絡を取ってみることにした。
自分が知っている出資者の情報も彼に伝えた。
26人いた出資者のうち、連絡が取れたのは10人ほどだった。
それ以外は音信不通。
既に事故死しているのが7人。

これはただごとじゃないな。とやりとりしているうちに、職場の友人がもう1人事故死した。
やはり出資者の1人だった。
職場のサークルメンバーは自分を除いて全て死んだ。

他のサークルメンバーも異常に気づき、掲示板では様々な憶測や議論が飛び交っていた。
自分が知らない詳細を調べてる人もいた。
分かっているだけで、15人が死亡。
生きているのは誰?という問いかけには誰も応えなかった。
自分も応えなかった。
応えないと疑われる、とは分かっていた。
しかし、応えた途端に何かが起こるような気がした。

連絡の付かないメンバーの捜索が本格的に行われた。
自分あの幹事役に無事を伝えておいた。
その結果、更に6人の死亡が確認されたそうだ。
あと5人

例のくじの当選発表はあと4日だった。

「Aさんから連絡有り。存命」
「Bさんから連絡有り。存命」
そんな報告が掲示板に乗るようになった。

恐ろしさのあまり職場も放棄して遠くに逃げ出した。
電車で地方まで行き、そこで掲示板を確認してみた。
「Cさんから今日は連絡無し」
自分はCだった。
あと4人。と誰かが言った。

次の日にはあと3人と。

実際には自分を入れて4人が生きている。
自分以外の3人は誰なのか全く分からない。
しかし、いつ自分の前に現れるか恐ろしかった。
そしておびえながら数日過ごし、当選発表の日を過ぎた。

結果は、「1等当選無し」だった。

掲示板に落胆のメッセージが次々書き込まれるなか、更に1人の死亡報告があった。
自殺だったという。
それはあの幹事役の彼だった。
出資者であることは知らなかった。

その後はサークルと縁を切り、会社では職場放棄で怒られたが無事にいつもの生活に戻れた。
それでも時々、いつかあの幹事がやってくるのではないかとおびえている。
posted by 黒鳥 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 031〜040 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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