ある夏の夜。
お酒を飲んで寝て朝起きたら、足に切り傷が出来ていた。
小さな傷でもう血が固まっていたが、少し布団を汚していた。
記憶を無くすまで飲んだ覚えはないが、それでも何かにぶつけてたんだろうか。
しかし、2日後くらいにまた新しい傷が出来ていた。
前の晩は飲んでない。
傷口はやはり小さいが、切ったと言うよりも皮膚がはがれた感じだった。
ベッドの周りを確認したが、怪我をするような突起物は出てない。
そして、また傷が出来た。
今度は、前の傷が更に大きくなっていた。
直径1cmほどに肉が削れていて、さすがに痛かった。
痛みは我慢できるが、そのたびにシーツが汚れるので困った。
やはり原因は分からなかった。
その日の夜、足に痛みを感じて目が覚めた。
慌てて飛び起きた。
ベッドに何かいる。
灯りをつけると、以前の傷口からまた血が出ていた。
布団をはがして見ると、そこにいたのはザリガニだった。
一月前に郊外に転勤したばかりで、近所に田んぼや川がある生活が新鮮だった。
川には魚もいたし、ザリガニも素手で取れた。
それで何匹か捕まえて水槽に入れてあった。
適当にご飯粒なんかを与えて脱皮のあとも見てたが、すぐに興味も失せてほとんど放置していた。
水槽から出てくるくらいに育ってるとは思わななかった。
ザリガニを捕まえて元の水槽に戻そうとして中を見たら、何匹かいたはずなのに空だった。
餌を与えていなかったから、共食いしてしまったのだろうか。
それとも、外に逃げ出したのが他にもいるのだろうか。
夜中に家中探し回ったが、他には見つからなかった。
あきらめて寝ようとしたとき、さっきのザリガニがまたいなくなっていた。
足ならまだよかったが、目をつつかれたりしたらたまらない。
もう一度探したが、どうしても見つからない。
あきらめて寝ようと思っても、布団をかぶって寝ても安心できない。
仕方なくトイレで扉をしっかり閉めて布団にくるまって寝た。
何日か過ぎ、一度もザリガニを見かけることもなかったのでトイレで寝るのはやめた。
あれ以来ザリガニを家の中で見たことはないし、外から新たに採ってくることもしなかった。
だけど、橋の上からザリガニを見るといまだに恐ろしさを感じる。
2004年11月22日
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