2004年11月15日

俺、これから自殺してくるわ

「俺、これから自殺してくるわ」
A君がそう言い残して教室を出ていった。
誰も本気には思わなかった。
B君は「してこいしてこい」と冷やかしていた。
土曜の放課後のことだった。

その日の夜、A君が林の中で首を吊ったと連絡網で電話が来た。
次の月曜には、みんな青い顔して登校した。
あのとき誰もA君のことを本気に思わなかった。
特にB君はとてもショックを受けていた。

A君はいじめなんかとは無縁だった。
先生が言うには家庭の事情とかがあったらしい。

それから、いつも冗談を言ってみなを笑わせてたB君はふさぎがちになってしまった。
特に、B君の前ではA君の話題は禁物だった。
A君のことを思い出すと、いつの間にか目を真っ赤にして泣いてたりする。

A君の事件から2週間ほどたった頃、B君が帰り際にそれを言ったことがある。
「俺、これから自殺してくるわ」
冗談でもそんなこと言えない雰囲気のクラスで、しかもB君が言うのだからみな慌てた。

B君を引き留め、みんなで怒った。
B君はひどく錯乱していて、泣きながら暴れた。
そして、担任も駆けつけ保護者も呼ばれ、次の週からB君は学校に来なくなった。
児童相談所に通っているという噂が聞こえてきた。
A君の呪い。
他のクラスではおもしろ半分でそう呼ばれているようだった。

その後、ついにB君が自殺したという記事が新聞に載った。
A君が首を吊った林の中だった。

それから数年、なんの変哲もない住宅地そばのその林は、自殺の名所となった。
A君。
A君を冷やかしたB君。
B君を笑った人。
さらに別の人。
自殺者は主に僕らの同期の代から、上や下や様々に広がっていった。

次第に自殺騒動は下火になったが、今でも一連の事件はA君の呪いと呼ばれてる。
だけど、おもしろ半分で呼ぶ人は多分もういない。
posted by 黒鳥 at 03:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 021〜030 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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